私は鍼灸師になる以前、体力、気力とも極端に低下し、医者に「慢性疲労症候群」と診断されたことがありました。動くのがつらい、何もする気がしない、集中して考えられない、不眠、関節痛、筋肉痛、喉痛・・・。この病気はいくつかの説はありますが原因はまだわかっていません。国際的な基準はありますが多くの症状のバスケットネームのようなものです。
1年間、完全に休養し規則正しい生活と食養生でなんとか普通に生活できるようになりました。それでもまだ疲れやすい体でしたが、経絡治療のはり、灸で体がどんどん軽くなっていきました。そして経絡治療で多くの方の苦しみを救うことを生涯の職業として選ぶに至りました。
経絡治療の効用は疲労体質の改善にあるだけではなく、もちろん腰痛や肩こりにも効きますが、どこへ行っても治らない様々な症状をお持ちの方には本当にお勧めできます。
現代医学の発達はもちろん否定できない事実ですが、薬漬けと副作用の問題はその限界を露呈しています。人間を全体としてとらえ全身の気の調整で健康を取り戻す経絡治療はこれからますます必要とされていくにちがいありません。
多くの方が80歳以上、90歳以上の寿命と言われる中で「長生きしたくない」という矛盾的な声を多く聞きます。年金や介護の問題もありますが「寝たきり」や「痴呆」にたいする不安を多くの方が持っています。健康こそ宝です。患者さんの体も気持も軽くしてかけがえのない人生を充実して生きる力になれたら、と日々の臨床に励んでいます。