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古典文献より
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院長コメント
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肝経 |
世話好きで思いやりがある。鶏(にわとり)に例えられ、たくまし行動力の持ち主。しかし動きに激しすぎるところもあり、そそっかしいおのが玉に傷。けっぺきで几帳面だが強情で周囲との融和性に欠けることもある。何事にも積極的にアタックする。しかし、肝の気が弱るとイライラして怒りやすくなる。一方、気が小さくなり何事に対しても消極的になる。なかなか始めないが、始めると止まらなくなり、あれもこれもと思いながら全部できないので余計にイライラして怒りっぽくなる。努力家で成功型であるが、体力以上に働くために、もう一歩という所で倒れる者が時々いる。病気になると筋、眼、爪に病症が出る。筋肉が引きつる、大小便が出にくくなる。手足が動かしにくくなる。生殖器の病気になる。
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この証の患者はギックリ腰など腰痛や、パソコンの使い過ぎによる眼の疲れや頭痛を訴えて来院する方が多くいらっしゃいます。また「めまい」が出やすい方、足のつりやすい方もこの証の方に多くいらっしゃいます。努力家で向上心があるいっぽうクヨクヨと悩むことも多いようです。不眠の方もこの証が多いです。
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心経 |
動物としては羊(ひつじ)に例えられる。礼儀正しく人を攻撃せず従順である。表面は柔和であるが激するとはげしい。性格としては陽気で良く笑う。顔面が赤くなりやすく、口が乾きやすい。この体質の人が病気になると胸苦しい、胸痛、手掌(手の平の事)が熱す。咽喉(いんこう)がふさがる、などの病症を現す。
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心は自らが虚(きょ)になる時は死ぬ時であると言われ、鍼灸院を訪れる患者はあまりいません。相剋経(そうこくけい)の腎が虚になることで心の病症を現す患者はおります。足が冷えているが赤ら顔で不整脈をうつ、など。
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脾経 |
信じやすくお人よし。周りと丸く付き合える社交家。おとなしい牛(うし)に例えられる。物思いにふけりやすい。この気が弱ると記憶力が弱くなる。顔面が黄色になりやすい。食べすぎ、飲みすぎや働きすぎによって病症を現す。腹がはる、食物が消化しないので胃部がはって苦しい。身体がだるい。手足の関節がだるくなったり痛んだりする。食欲不振で痩せている人、あるいは過食で肥っている人、両方が脾の証である。脾経と表裏にある胃経(いけい)は躁鬱(そううつ)と関係がある。
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つきあいやすい性格なのですが、けっこう思い悩むタイプの方が多いようです。この証の患者で一番多く来院するのが膝関節痛の患者です。膝を悪くする方は肥満タイプが多いのですが、逆に食欲がなく、肥りたくても肥れないという方も脾の証です。身体のだるさを訴えてくるのもこの証の方です。
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肺経 |
動物では馬(うま)に例えられる。内向的で神経質な面とたくましく行動的な面がある。考え深く慎重な人。正常であれば行動的だがこの気が弱ると何もしなくなる。頭脳明晰あ(ずのうめいせき)で芸術家タイプであるが神経病にかかりやすい。愚痴っぽく何事にも悲観的に考えやすい。喘息、咳、悪寒、発熱などの病症を現しやすい。身体が冷えて鼻汁を出しやすくなる。病むと皮膚や体毛に光沢がなくなる。
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細かいところに気がつく繊細な方が多いようです。この証で一番多く来院するのは肩こりの患者です。風邪をひきやすく呼吸器が弱く咳やくしゃみをしやすい。また皮膚が弱い方が多いようです。温度が下がると手足がすぐに冷えてきます。肺虚の方は皮膚に張りや潤いがなくなる傾向があります。
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腎経 |
動物では豚(ぶた)に例えられる。綿密周到(めんみつしゅうとう)でコツコツ型。気が小さく恐ろしがりやである。技術者や研究家タイプ。よくあくびをし、顔面や耳が黒色である。この体質の人が病気になると、下腹がひきつる。下痢して渋り腹になる。足から冷えあがる。弱ると体力気力ともなくなり、何をやっても長く続かない。あれもこれもと手を出して結局終りまで続けられないのは腎が虚しているからである。足冷え、脚弱、腰痛、排尿障害を起こしやすい。骨まで冷えると訴える。
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まじめで周りに気を使う方が多いようです。冷え性や腰痛、前立腺や子宮の病気の方がこの証で来院します。高齢者で骨が曲がっている方や難聴の方、夏でもパンツの上に股引(ももひき)を着ないと寒い人は腎虚の方が多いようです。また押しても戻らない浮腫みも腎虚が多いです。
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